「セラミック矯正って、どんな治療法?」
「歯を削るって聞いたけど、大丈夫なの?」
「歯列矯正と、どう違うの?」
このような疑問はありませんか?
セラミック矯正は、歯を削ってセラミックを被せることで歯並びを改善する方法です。治療期間が短く、審美性に優れるというメリットがある一方、健康な歯を削る必要があるなど、デメリットもあります。
そこでここでは、セラミック矯正のメリットやリスク、歯列矯正との違いについて解説します。
セラミック矯正 目次
「セラミック矯正」とはどのような治療方法?
セラミック矯正とは、歯を削り、セラミック製の歯を被せることで歯並びや歯の色を改善する方法です。これは歯科矯正専門医が行う矯正治療とは全く異なる方法。芸能人が受けていることもあり、若い世代を中心に注目されています。
テレビや雑誌で目にする芸能人の白い歯に憧れて治療を行う若い方が増えているようです。
しかし、どのような治療法なのか十分に理解しないまま施術を受けてしまうケースも少なくありません。その結果、健康な歯を削ってしまったことを後悔する方もいるのが現状です。
治療を選択する際は、治療内容・メリット・リスクなど、歯科医師からの説明をしっかりと聞き、納得した上で選択することが重要になります。
セラミック矯正3つのメリット
セラミック矯正には、以下のようなメリットがあります。
比較的治療期間が短い
自然な見た目と高い審美性
セラミックは、天然歯に近い色や質感を持つ素材です。そのため、人工物を感じさせない自然な仕上がりになります。
また、変色や摩耗に強い素材なので、長期間にわたって白い歯を保つことができます。コーヒーや紅茶、赤ワインなどの色の濃い飲み物や、カレーなどの色の濃い食べ物を摂取しても変色しにくいという点も魅力です。
ただし、その状態を維持するためには、適切なケアと定期的なメンテナンスが欠かせません。
毎日の歯磨きはもちろんのこと、歯科医院での定期的なクリーニングを受けるようにしましょう。また、歯ぎしり・食いしばりをする方は、ナイトガードを着用するなどして負担を軽減することが大切です。
金属アレルギーのリスクが少ない
矯正治療では、金属製の装置を使用します。しかし、セラミック矯正では金属をほとんど使用しないため、金属アレルギーの心配がありません。
ただし、全く金属を使わないわけではありません。たとえば、歯の神経を抜いた後に、セラミックを被せるための土台として「コア」と呼ばれるものを入れることがあります。このコアには、金属が使われているケースがあります。
金属アレルギーが心配な方は、治療を受ける際に、コアの素材についても歯科医師に相談することをおすすめします。
また、セラミックは透明感があるため、金属製の土台を使用すると、それが透けて見えてしまう可能性があります。審美性を重視する場合は、この点にも注意が必要です。
セラミック矯正の5つのデメリット
セラミック矯正のデメリットは、以下の通りです。
健康な歯を大きく削る必要がある
セラミック製の歯を被せるために、健康な歯を大きく削る必要があります。
矯正治療では、歯を動かすことで歯並びを整えるため、歯を削ることはありません。「IPR」や「ディスキング」と呼ばれる処置を行いますが、これは歯の側面をヤスリで0.25mmほど削る処置のこと。
一方セラミック矯正では、歯の形を整えるために場合によっては歯の神経を抜いたり、抜歯をしなければならないケースもあります。
歯は一度削ってしまうと二度と元には戻りません。また、神経を抜いた歯はもろくなり、将来的に歯が折れたり欠けたりしやすくなるリスクがあります。
セラミックにも寿命がある
セラミック製の被せ物にも寿命があり、一般的には10年程度と言われています。もちろん、毎日のケアや定期的なメンテナンスや治療の精度によって、寿命は大きく変わります。
しかし、セラミックが欠けたり割れたりすることもありますし、歯の根元のトラブルなどで、作り変えなければならないケースも考えられます。
そのような場合、残念ながら、さらに歯を削る必要が出てきます。歯を削る量は、程度によって異なりますが、歯の寿命を縮めてしまう可能性が高いです。最悪の場合は、抜歯に至ってしまうこともあります。
長期的な費用負担が発生する
治療を受ける際にはリーズナブルに感じるかもしれません。しかし、再治療が必要になった場合、その都度費用がかかります。
長期的な視点で考えると矯正治療よりも費用負担が大きくなってしまう可能性もあります。
歯並びの根本的な改善にはならない
矯正治療では、ブラケットやマウスピースを使って、歯の根っこごとゆっくりと動かしていきます。そのため、歯の軸は自然な状態を保てます。
一方、セラミック矯正は、出っ歯などを改善するために、歯の神経を抜く「根管治療」と、歯の土台となる「コア」を入れる処置が必要になる場合があり、歯の軸を強制的に変えなければなりません。
この処置によって歯の根っこの軸がずれてしまい、噛み合わせが悪くなる可能性があります。
噛み合わせが悪いと、歯に大きな力が加わったり、折れてしまう可能性があります。また、食べ物をうまく噛み砕けなくなるなど、日常生活にも支障をきたす可能性があります。
中には見た目の改善だけを重視し、噛み合わせや歯への負担を軽視した治療が行われるケースもあるようです。このような治療を受けた場合、将来的にさまざまなトラブルに見舞われる可能性が高まります。
将来的に再治療が必要
セラミック治療は、機能性と審美性を兼ね備えた優れた治療法ですが、残念ながら永久に持続するわけではありません。
加齢や歯周病などによって歯茎が下がってしまうと、セラミックと歯茎の境目が目立ってしまうことがあります。
すると、見た目が不自然になったり、境目に汚れがたまりやすくなり、虫歯や歯周病のリスクが高まったりといった問題が起こる可能性も。
このような場合は、再治療が必要になることがあります。
歯列矯正とセラミック治療はどう違う?
歯列矯正は、ワイヤーやマウスピースなどの矯正装置を使って、歯に力を加えることで、少しずつ歯を動かしていく治療法です。
100年以上もの歴史があり、世界中で広く行われています。矯正治療専門の学会もあり、日々研究が進められています。
歯列矯正は、体のメカニズムを利用した治療です。私たちの骨は硬いように見えても、常に新陳代謝を繰り返しています。矯正治療では、この新陳代謝を利用して歯を支えている骨(歯槽骨)に変化を促し、歯を動かしていきます。
【あわせて読みたい】
矯正治療のしくみ
セラミック矯正を受ける前に確認すべきポイント
セラミック矯正は、以下のように注意すべき点もあります。
不可逆的な治療である
セラミック製の歯を被せるために、健康な歯を削る必要があります。歯を削るという処置は、一度行ってしまうと元に戻すことができません。
神経を抜く可能性がある
歯を削る量が多い場合、歯の神経を抜かなければならないケースもあります。神経を抜くと、歯の寿命が短くなる可能性があります。
費用が高額になる場合がある
自由診療となるため、保険が適用されません。そのため、入れる本数によっては矯正治療に比べて費用が高額になる傾向があります。
慎重に歯科医院を選ぶ必要がある
そもそもセラミック治療自体、歯科医師の技術と経験を必要とする治療です。安易にクリニックを選んでしまうと、仕上がりに満足できなかったり、噛み合わせが悪くなったり、トラブルが発生する可能性もあります。治療を受ける際は、以下の点に注意してクリニックを選びましょう。
- 豊富な症例実績があるか
- 丁寧なカウンセリングを行ってくれるか
- 治療後のメンテナンス方法について詳しく説明してくれるか
また、複数の歯科医院でカウンセリングを受けて比較検討することをおすすめします。
長期的に歯や全身の健康に影響を与えることがある
歯の寿命や噛み合わせ、そして全身の健康に影響を与える可能性があります。治療を受ける前に、長期的な影響についてもよく考えておく必要があります。
まとめ
セラミック矯正は、短期間で歯並びを整える方法として注目されていますが、見た目の改善を重視するあまり、噛み合わせが軽視されているケースも見られます。
噛み合わせが悪い状態が続くと、顎関節症や頭痛、肩こりなどを引き起こす可能性があります。さらに、顔の筋肉のバランスが崩れ、顔の歪みにつながる可能性も。
歯並びが気になる方は、矯正治療も検討してみましょう。
従来の矯正治療のイメージとは異なり、近年では、ワイヤーやマウスピースの矯正治療は進化を遂げています。患者さんの負担が少なく、治療期間も短縮できるようになってきています。
歯は、一生涯使う大切なものです。
「健康」と「美しさ」の両方を叶えるために、ご自身の歯を大切にケアし、適切な治療を受けていきましょう。
歯並びや噛み合わせについて不安がある方は、まずは矯正専門の歯科医院に相談することをおすすめします。
当院では随時カウンセリングを行っておりますので、お気軽にご予約ください。