投稿日:2024.9.20
歯が動かない原因、アンキローシスってなに?
こんにちは!
横浜駅西口から徒歩3分の歯科矯正専門医院、横浜駅前歯科・矯正歯科です。
いつも当院のブログをご覧いただきありがとうございます!
歯列矯正は通常、被せ物などをしている歯でも治療で動かすことができますが、中には矯正力をかけても歯が思うように動かないことがあります。
その原因の一つとされているのが、「アンキローシス」と呼ばれる症状です。
稀なケースではありますが、このアンキローシスがある場合には矯正治療に大きな影響を与えることがあります。
本記事では、このアンキローシスについてどのような症状があるのか、矯正治療中においてどんなリスクがあるのかについて詳しく解説します。
目次
アンキローシスとは?
アンキローシスは骨性癒着ともいい、歯と顎の骨(歯槽骨)が結合、癒着してしまった状態です。
通常、歯は直接歯と結合しているわけではなく、歯根膜という繊維性の組織を介して繋がっています。
しかし、アンキローシスは歯根膜が何らかの原因でなくなることで、歯と骨が直接結合してしまいます。
歯と骨を繋ぐ本来あるべきこの歯根膜は、歯を守るセンサーやクッションの役割を果たし、矯正治療においても重要な役割を担っています。
矯正治療で歯を動かすには、リモデリングと呼ばれる骨の代謝が不可欠ですが、この現象は歯根膜がなければ起こりません。
つまり、歯根膜がないインプラントのような歯は、矯正治療で動かすことができないのです。
同様に、歯根膜のないアンキローシスのある歯では、矯正治療による歯の移動が困難となり、治療に際して特殊なアプローチが必要になることも少なくありません。
アンキローシスの原因
アンキローシスの原因はいくつかあるとされていますが、主に「外傷」によるものが一般的です。
外傷にアンキローシスは、事故やスポーツなどで歯に強い外力が加わり損傷することで、歯根膜が断裂してしまうことで起こります。
歯根膜は自然治癒することがないため、歯根膜が断裂してしまった歯が次第に歯と直接結合し、アンキローシスの引き金になることが多いのです。
他にも、局所的な代謝の異常や、内分泌の異常などが原因となることがありますが、原因が不明であることも少なくありません。
アンキローシスは、いずれも一見すると他の歯と同様に異常がみられないため、自覚症状なく過ごしている方がほとんどです。
そのため一般歯科での検診や、矯正歯科での検査を受けた際に、初めてアンキローシスという症状を指摘されて気がついた、という方が多い傾向にあります。
歯科医院でアンキローシスを診断する際は、歯の揺れ(動揺)や歯を軽くたたいて音を確認(打診)、レントゲン撮影などを行います。
アンキローシスの問題点
矯正治療では歯が治療計画通りに移動しないと、治療全体の進行に影響が生じます。
アンキローシスは歯の移動を阻害するため、治療に影響を与える大きな要因の一つです。
アンキローシスの場合、特に以下の点が矯正治療に関する大きな問題点と言えます。
治療による負担が大きい
アンキローシスの疑いがある場合、まずは他の歯と同様に矯正力を加えてみて、本当に動かないか経過観察を行います。
しかし、どうしても動かない場合には対象の歯を抜歯するなど、外科的なアプローチが必要です。
歯が骨に癒着していることから、専門性の高い口腔外科のテクニックが必要であり、経済面や身体面など通常の抜歯と比べ患者様の負担も大きくなりやすいといえます。
治療期間が長くなる
アンキローシスのほとんどは、通常の矯正力では歯を動かすことができないため、一般的な治療計画に沿った矯正治療が困難となります。
治療の途中、治療計画の見直しだけでなく、抜歯などの外科的な処置が行われることも多いため、その分通常よりも治療期間が長くなりやすい傾向にあるのです。
治療費の増加
アンキローシスは、外科的な追加処置が必要になることや、治療期間が長くなることにより、矯正治療の全体的な治療費が増加する可能性があります。
患者さまにとって身体的な負担だけでなく、金銭的な負担が増えることで、治療中のモチベーションにも影響を及ぼすことも、アンキローシスがもつ問題点の一つです。
アンキローシスがある場合の矯正治療
アンキローシスにより歯の移動が困難だと判断された場合、治療を進めるためには大きく分けて2つの対処方法が取られます。
抜歯
まず1つ目は抜歯です。
単純そうに見えますが、歯と骨が癒着しているアンキローシスの場合には、抜歯をするにも慎重な手順、判断が必要になります。
場合によっては、専用の器具で癒着している骨を削り、抜歯後も骨に歯が残っていないかレントゲンで確認する必要があります。
一般的な歯科医院でも対応可能なこともありますが、程度によっては口腔外科の専門医による処置が必要になることもありますので、その場合矯正治療を行うクリニックと、外科治療を行うクリニック医療機関の連携が重要となります。
歯の脱臼
続いて2つ目の選択肢は、歯の脱臼です。この方法では、アンキローシスが見られる歯をわざと脱臼させることで骨から歯を引き剥がし、また癒着が起きないうちに矯正力をかけて歯を動かします。
このアプローチは、歯全体にアンキローシスが起きているケースではなく、部分的にアンキローシスが生じているケースに適応されます。
しかし、この脱臼という方法は、必ずしも成功するわけではありません。
癒着の程度や歯の状況によっては脱臼させることが難しく、その場の判断で抜歯に変更になることもあります。
上記の方法はどちらにせよ、通常よりも難度の高い外科処置となるため、どうしても心身の負担が増えやすくなります。
補綴治療
上記アプローチのほか、アンキローシスの歯はそのまま動かさずに、被せ物などで見た目や噛み合わせを調整する「補綴治療」も選択肢の一つです。
この場合、歯の位置は動かさないため大きな変化は期待できませんが、セラミックなどの素材を被せることで歯の形や色を調整でき、審美的な変化は期待できます。
コルチコトミー
また、近年では歯槽骨に切り込みを入れ、骨の再生力により歯の移動を活性化させる「コルチコトミー」と呼ばれる外科処置が、アンキローシスの矯正治療に用いられることもあります。
ただ、この場合でも必ずしも歯が動き出すという保証はないため、あくまで可能性の一つとして検討しておくといいでしょう。
まとめ
アンキローシスは自覚症状がないため、「いざ矯正治療を始めようとして検査をしたら発覚した」という方も珍しくはありません。
原因は様々ですが、歯と骨が直接癒着していることから動かすことができず、治療において大きな障害となることがあります。
通常の矯正治療に加え、専門的な外科処置が必要になることが多いため、心身の負担が大きくなってしまうこともあるでしょう。
しかし、矯正治療を担当する歯科医師がアンキローシスについての専門的な知識や経験を持ち、適切な治療計画を立案することで、可能な限り患者さまの希望に沿った矯正治療を進めることは可能です。
アンキローシスの場合、抜歯や脱臼などの外科処置を要する可能性が高いこと、癒着の状態によっては第一希望のアプローチができなくなり、治療計画を変更する必要性もあることから、患者様の治療に関するストレスや不安が大きくなってしまいがちです。
治療の際には適宜担当医とコミュニケーションを取るように心掛け、疑問や不安を抱え込まないようにしましょう。
アンキローシスは口腔内の検診に加え、レントゲン撮影やCT撮影により発見、診断が可能です。
特に過去歯を強くぶつけたことがある方や、歯医者で動かない歯があると指摘されたことのある方で矯正治療を検討している場合は、まずカウンセリングや精密検査を受けてみましょう。
歯並びが気になる方は、どんな些細な内容でも当院へお気軽にご相談ください。
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