投稿日:2025.10.21
親知らずを抜いたスペースで矯正できる?可能なケースと注意点を解説
みなさん、こんにちは。
横浜駅前歯科・矯正歯科です。
目次
親知らずと矯正の関係
矯正治療では歯を綺麗に並べるためのスペースが必要になるので、顎が小さい場合や歯が大きい場合など、スペースがないケースには健康な歯を抜歯してスペースを作る「抜歯矯正」という方法があります。
歯並びの状態が中程度~重度の場合は抜歯矯正を行うことが多いです。
しかし健康で将来性のある歯を抜歯することは抵抗があるので、「親知らずのスペースを使いたい。」という方もいます。
すべてのケースに適応できるわけではないですが、症例によっては利用することができます。
今回は親知らず抜歯後のスペースがどの症例に利用できるのか、判断基準や注意点を詳しく解説します。
そもそも親知らずはなぜ抜くの?
大前提として、周りの歯や歯茎に悪影響を及ぼしておらず、正常な位置で真っすぐ生えている親知らずは、噛み合わせが成立して機能しているので抜く必要性はありません。
しかし以下のような親知らずは、歯列矯正のタイミングで抜くことをおすすめします。
1)歯列への悪影響(圧迫・歯の移動)
・不適切な方向に生えている親知らずを残していると、奥歯を押して歯並びが乱れることや、噛み合わせが悪くなることがあります。
・一番奥に生えている親知らずが横向きや半埋伏に生えていると、歯ブラシが届きにくく、汚れが溜まりやすいので、歯茎の炎症や虫歯のリスクが高まります。
そのため親知らずを抜歯することで口腔内を清潔に保ちやすくなり、歯周病や虫歯の予防になります。
正常に生えていない親知らずは将来的なリスクが懸念されるので、矯正治療のタイミングで抜歯することで、これらのトラブルを未然に防ぐことができます。
2)抜歯は矯正治療前に行うケースが多い
・矯正治療前に抜歯することで、奥歯を後ろに動かしやすくなるので治療がスムーズに進みます。
・歯を動かせる範囲がわかっているので、移動距離が計算しやすく治療計画が立てやすいため、自由度が上がりやすいです。
親知らずを抜いたスペースに矯正は使える?
1)基本的には「症例による」
・親知らずの抜いた部分の骨の厚みやスペースの大きさによって活用できるかは異なります。歯列にスペースが十分ある場合は、親知らずのスペースを利用する必要はないです。
・前歯の凸凹や出っ歯の改善のため、奥歯を後ろに動かす“遠心移動”が必要な症例は、親知らずのスペースを利用できます。
2)スペースを使うメリットと注意点
<メリット>
・不足している歯列のスペースを補えます。
・歯列矯正で抜歯を行うのは第一小臼歯が多いですが、親知らずのスペースを利用できるなら第一大臼歯を残すことができます。
・親知らずがあると後方から歯を押して、後戻りや将来的に再び歯並びの乱れやすいですが、抜歯することで将来の予防になります。
・親知らずの抜歯スペースに歯を下げることで、出っ歯やガタガタな歯並びをスムーズで短期間での治療を期待できます。
<注意点>
・親知らずのスペースが狭い場合や、歯槽骨の状態が良くないと動かせないこともあるます。
・親知らずは大きいため抜歯窩も大きく、歯肉や歯槽骨の回復に時間かかります。内部までの回復を待たないと痛みに繋がるので、治癒期間はしっかり設けましょう。
・抜歯窩の治癒期間は個人差があります。
実際の質問と医院の回答
「親知らずを抜いたスペースを使って矯正できますか?」という質問については以下の通りです。
適応する症例は全てではないですが、症例によっては親知らずのスペースを活用できます。
歯を綺麗に並べるスペースがない場合、親知らずを抜くことで歯を後ろにズラし、空間を作ることができます。
重要なことは抜歯した親知らずの状態や歯の移動の方向、歯並び全体のバランスを精密検査で確認してから治療が可能か判断します。
具体的にどんな症例が有効か説明していきます。
親知らずのスペースを使う代表的な症例
1)出っ歯(上顎前突)
出っ歯の原因は2種類あり、歯槽性と骨格性があります。
骨格性の場合は手術が必要なケースもありますが、歯並びに問題がある歯槽性は歯列矯正で改善できます。
歯列矯正で出っ歯を治療する場合、第一小臼歯を抜歯して、前歯を抜歯後のスペースに下げて前歯の突出を改善することが多いです。
しかし親知らずのスペースを利用できる場合は、第一小臼歯を抜歯せずに歯を後方に移動させることで、前歯が引っ込み全体のバランスを整えることができます。
2)八重歯(叢生)
叢生は歯が重なったりガタガタしている歯並びであり、可愛い印象のある八重歯も叢生に含まれます。
叢生は顎が小さい場合や、歯のサイズが顎に対して大きい場合に多く、出っ歯の治療法と同様に第一小臼歯を抜歯することが多いです。
しかし前歯の並びを整えるために親知らずのスペースに歯を下げることができます。
4)噛み合わせが深い症例(過蓋咬合)
上顎が下顎を深く噛み込んでいる過蓋咬合は、前歯を後方に移動させるために利用されていました。
しかし位置調整しながら咬合バランスを整えるために、全体の歯を動かす根本的な治療が必要になることもあります。
親知らずを活かした矯正ができないケース
1) 抜歯スペースが狭い、骨の条件が悪い
顎が小さくスペースが足りない場合や、歯周病や虫歯によって顎骨の状態が悪い場合などは、抜歯しても奥歯を後方に移動することは難しいです。
2)前歯の大きな移動が必要な場合
歯並びが重度の症例は全ての歯を後方に下げることは、歯の移動距離が大きいので歯根や歯槽骨に負担がかかります。
歯列矯正で歯を大きく動かすと、歯根が短くなる歯根吸収が起こり、歯槽骨が減少するリスクが高くなります。
そのため第一小臼歯など別の歯を抜歯して、必要以上に大きく動かさないことも重要です。
矯正前に行うべきこと:精密検査と相談
親知らずは矯正治療が開始する前に抜歯するので、まずは相談と精密検査を受ける必要があります。
1)セファロ、パノラマ、CTなどを活用して診断
写真撮影には以下の種類があり、これらの画像を診断や治療に用いられます。
パノラマ:全体を平面で確認できるので、親知らずの生え方や歯根や歯槽骨の状態などを把握できます。
セファロ:顎や骨格のバランスを確認でき、主に矯正治療の診断には必ず行う撮影です。矯正治療のために親知らずを抜歯する必要がるか判断します。
歯科用CT:立体的な画像で確認できるので、親知らずや神経の位置関係など、より詳しい情報を得ることができます。
2)歯の位置・骨の状態、歯根の向きなどを総合的に評価
必ず活用できるわけではなく、合併症やリスクの可能性もあるので、歯や骨、歯根の向きなど全てを加味した上で治療を行います。
3)「希望だけ」で判断せず、診断スペースで最適な選択をすることが重要
希望だけではなく、必ず口腔内の状態を確認し、メリットデメリットも理解することが重要です。
セカンドオピニオンを取り入れることも1つの方法です。
リスクもあるので歯科医師に相談し、ご自身に合った方法を見つけて納得のいく治療を開始するようにしましょう。
まとめ:親知らずを抜いたスペースを矯正に活かせるかは精密検査次第
精密検査後、親知らず抜歯後のスペースを使える場合は、本来の健康な歯の抜歯を回避することができます。
さらに、歯列矯正前に抜歯を行い、奥歯を後方に移動することで治療計画が立てやすく、治療もスムーズに進みやすいので、治療負担軽減に繋がります。
ただし全ての治療に適応するわけではないので、事前にカウンセリングで確認することをおすすめします。
健康な歯を抜くことに抵抗のある方や、親知らず抜歯後のスペースを利用できるか気になる方はいつでもお問い合わせください。
★矯正治療は横浜駅前歯科・矯正歯科へ!
専門のカウンセラーが詳しくお話させていただきます。
≫無料矯正カウンセリングのご予約はこちら☆
★横浜駅前歯科・矯正歯科のInstagramでは、
様々な症例や歯科に関する情報を投稿しています!是非フォローお願いします★
※マウスピース型カスタムメイド歯科矯正装置は、日本では完成薬機法対象外の矯正装置であり、医薬品副作用被害救済制度の対象外となることがあります。
※矯正歯科治療は公的医療保険適用外の自費(自由)診療となります。